わさびの特徴

わさびの学名『Wasabia Japonica Matsum』からわかるように、わさびは日本原産。
十字花科に属した常緑性、宿根性をもった多年草です。
主に根を香辛料として利用しますが、花や若葉、葉茎もわさび漬けなどに利用するなど、全草が活用できる無駄のない植物です。
わさびのイメージは、清流につくられた“わさび田”で青々とハート形の葉を茂らせているものでしょう。
ところが、わさびには野菜のように畑(涼しい山林中)で栽培されるものもあります。
この“わさび畑”でつくられるのを『畑(はた)わさび』または『陸(おか)わさび』といい、普通は林間栽培されるものを指します。

そして“わさび田”で栽培されるほうが『沢わさび』といわれています。
しかしいずれも「本わさび」に違いありません。
もっとも、両者はおなじ種類のわさびで、ただ微量成分に違いが生じるだけです。

一般に「わさび」といったら『沢わさび』を指し、品質は畑わさびにくらべて同程度だが、値段は高いものです。わさびの葉は先がややとがったハート形で、葉柄は根茎をとりまくように30~50センチのびます。花は白く小さな十字花で、その愛らしい姿からは、わさびのツーンとくる辛味などとても想像できません。いわゆる十字花科植物の種子には、刺激性の強い香味をあらわす「からし油」のもとになる成分が含まれています。

この成分こそが、わさびの数々の作用をもたらしているものです。
しかし、栽培環境が厳しいだけあって、わさびを栽培している県はそう多くありません。静岡と長野が二大産地で、島根が続きます。沢わさびは生産量の約3割強が生果用で、残りがわさび漬などの加工用になります。
一方の畑わさびはそのほとんどが加工用です。
それぞれの県ではわさびの等・階級の規格を設けて出荷しています。
本わさびの行く先の大半は高級料理や寿司屋で、スーパーなどの小売店には少ないのが現状です。
また、わさびは現在外国でも生産がされており、台湾・タイ・インドネシア・中国等のわさび(畑わさび)の輸入も相当あります。

わさびの栽培面積と生産量の上位県
(林野庁資料・平成5年)
  栽培面積(ヘクタール) 生産量(トン)
沢わさび 畑わさび 沢わさび 畑わさび
静岡県 沢わさび:156 畑わさび:15 沢わさび:498 畑わさび:156
長野県 沢わさび:148 畑わさび:116 沢わさび:676 畑わさび:428
島根県 沢わさび:33 畑わさび:78 沢わさび:13 畑わさび:32
山梨県 沢わさび:21 畑わさび:1 沢わさび:18 畑わさび:1
東京都 沢わさび:16 畑わさび: 沢わさび:32 畑わさび:
岩手県 沢わさび:23 畑わさび:33 沢わさび:23 畑わさび:1
全国 沢わさび:507 畑わさび:401 沢わさび:1325 畑わさび:776