わさび・まとめ

日本の食文化に大きく貢献しているわさびは、人の健康にも大変役立つ植物です。

食欲を増進させることはもちろん脳栓塞や心筋梗塞の原因になる血栓の生成を抑制する「抗血小板作用」、さらにはここ数年で明らかになりつつある「制ガン作用」など、病に対するわさびの効能も注目を集めてきています。

ただし間違わないでいただきたいのは、わさびに病気を完治させる力があるわけではなく、体内の代謝の偏りをなくし、病気になりにくい体内環境を作ることで予防するということです。

わさびは薬ではありません。

しかし本文で述べるような病気の予防につながることは、まぎれもない事実です。

一昔前は、ツーンと鼻にぬけるえもいわれぬ辛味が日本人を魅了していたのでしょうが、この辛味こそがわさびのパワーの源だったのです。

老若男女誰もが健康に関心のある現在では違った意味でわさびを見つめ直すことは意義あることでしょう。しかし、歴史面や学術面、栽培面など違った角度からわさびを見たとき、その姿を真に理解している人は少ないと思います。

姿形は小さくゴツゴツしていても、その奥に意外な力を秘めているのがわさびなのです。

【出典】
川岸舜朗(かわきし しゅんろう)著
『わさびはツーンと効く~辛味成分が食欲と健康をパワーアップ』(株)ハート出版(1996)